色をどう扱うか.

自邸では,壁を役割によって4種類に分けて考えています.そのうち,「構造・構成上,残り続ける壁」にどのような色や質感を与えるかを検討しました.
外壁の室内側に使う一般的な壁紙(#500クロス)との差をきちんと出したいと考えたとき,「色味を与える」という選択が出てきます.
色は,素材や構成と比べるとどうしても好みが入りやすく,明確な必然性を与えるのが難しいものです. ただ,白もまた「選ばれた色」であることを考えると,白一色で整えることも,趣味の範疇を出ないのではないかとも思います.
そう考えると,この壁が他の壁とは違う意味を持っていることを,空間の中で感じられるようにするために,色を使うことには一定の必然性があるようにも思えてきます.
実際に使う色を検討するため,今回使う塗り素材のサンプルを並べながら,それぞれの色が持っている意味合いや特徴を整理していきました.
ブルーベルベットはとてもきれいな色ですが,今回の空間では,検討した青が暗く感じられることが気になりました. 茶系の色は,自然派な表現を想起させすぎるかもしれない. オレンジは明るくてよいかもしれないけれど,家具との調和を考えると少し難しそうです. 別に1色でなくてもよいのではないか. 妻の好みをどこまで反映するべきか.
いろいろと考えた結果,最終的には赤色と辛子色を選択しています.
赤は,比較的大きな空間の中に重心をつくり,壁の存在をはっきりと感じさせる色として. 辛子色は,#500クロスとの違いをしっかりと持ちながらも,白い壁や木の床と近い温度を持ち,小さな空間でも人に寄り添える色として.
どちらも,単なる好みとして選んだというより,この壁が「構造・構成上,残り続ける壁」であることを,生活の中で自然に感じられるようにするための選択です.
色は完全に理屈だけで決められるものではありませんが,それぞれの色が持つ印象や働きを比較していくと,この2色は,今の自邸にとってかなり妥当な選択だと思えました.

Instagramの投稿をもとに,HP掲載にあたり一部加筆・編集しています.
文:斉藤公平
