













木立の中に可愛らしく咲く花がある。オオバナノエンレイソウという。北海道大学の校章にもなっている、北国の貴重な花だ。
この美しい森を一枚の絵のように映し出すスクリーンを準備するところからこの住宅の設計は始まっている。薪ストーブの背後は、はめ殺しの窓のみを使ってノイズを消した。窓の高さを抑えて重心を低くとることにより、より地面近くへの景色に気持ちを誘った。これにより、花々と幹が作り出す奥行きのある森を映し出すことを意図している。
森の中に佇む家として、シンプルな切妻の細長いヴォリュームを準備した。「一枚屋根の森のすみか」でも同じように考えたが、まっすぐな木立に水平を強調するヴォリュームで、風景にまとまりを与える意図がある。
撮影:永井博史