工房を持つ家である。大きな空の下、工房と住居を覆う大きな屋根が映える家だ。
夏になると畑には背の高い作物も育てられることがわかっていたので、せっかくなら広大な大地を常に楽しめるように、2Fを主たる生活空間とするようと考え、1Fに工房を据えつつ2Fに住居部分をすべて持ち上げ、2Fで平屋のように生活できるようレイアウトした。
2Fで生活するときには階段の工夫が必要だ。一歩間違えるとストレスになり得る。そこで階段は大きな開口に沿わせて設けて色々な高さからの眺めが楽しめるように考えた。ありがたいことにお施主様も階段の上り下りを楽しんでいただいていると連絡をいただいた。設計者冥利に尽きる。
技術的にも、大屋根でありながら軽やかに覆いかぶさるようにみせるため・1Fと2Fでそれぞれ自由に平面を作るための構造的な工夫を行っており、総合力を試される非常に楽しいプロジェクトとなった。
外壁の風合いが落ち着きもっと風格が漂うようになったころが楽しみだ。

撮影：永井博史