




北側道路の住宅街に建つ家である。条件としては以前設計した「北入りの箱の家」とも似ており、お施主様は何よりも日当たりを気になさっていた。色々な経緯はたどったが、最終的には主室を2Fに持ち上げる形で落ち着いた。南側に大きな開口をとることになるが、将来隣地の建物が建て替わったときのことも考えて、バルコニーの手摺壁兼目隠しをルーバーとして設けている。
2Fをメインの居場所にするとき、1Fがどうしてもプライベートな機能を持つ形になることが多い。玄関を入ったときにさっと階段が目に入り「この上に行けばいいんだな」と思わせるような工夫は必要かと思う。階段の配置だけでなく、特に明るさを調整することに気を使いたい。明らかに1Fより2Fが明るいことがわかるような階段をしつらえることはこの手の間取りでは必至であろう。
大きな開口がある家に断熱性や性能に不安のある方もいるかもしれないが、この家では弊社での標準的な設計をしており、Ua=0.26(W/㎡K)と断熱等級6以上であることを証明している。
撮影:永井博史