お施主様は小さな川に面した河畔林を住まいとして選ばれた。背の高い立派な木々と川の向こうに視界が開ける魅力的な場所だ。
特に今ある木立がお気に入りで、林の中で住まうことがとても楽しみなご様子だった。木立の中にどんなヴォリュームが似合うのだろうか、とても楽しくアイディアを練ることができた。
強い印象を持つ存在感のある形状とするか、木立の中でたたずむようなささやかな形状がよいか。どちらの方向性も考えられたが、今回は機能上の要求とも相性がよい形として後者の方向で考えた。
コロンとした切妻をメインの居場所として添え、その他水廻り等に必要なヴォリュームと形状を分けて考えることで木立の中で優しい印象をもつたたずまいとなるよう整えた。
窓の切り方は、背の高い木立を見上げられる縦長の窓と川辺に向かってそのまま抜けていくような横長の窓を特徴として、この土地の魅力をそのまま生活空間とできるように考え、開放的な気持ちのいい場所が出来上がった。
撮影:永井博史