Design du Koh が発足するきっかけとなった家。
森の近くに住みたいが、札幌の夜景も眺めたい。そんな土地を探すところから始まったこのプロジェクト。道路面から5m程度敷地が高く、いまだ誰もここに建物を建てたことのない難しい土地であったが、力強い家ができる予感に魅了された。
敷地の上に立つだけで眺めは良かった。風景に投げ出される、そんな印象とともに夜景を肴にお酒を飲んだり、遠くを眺めながらBBQをしたり、そんな体験ができたらとても気持ちいいだろうな、というのがイメージとして浮かんできた。
そこで地面から少し浮かせた水平面を作って、室内の居場所とテラスを設けた。このテラスは下の景色を隠し直接遠くの景色に抜けていく印象を作り出すほか、山の木々が心地よい音を立てるのを聞きながら、屋外での食事などを楽しめる十分な大きさを持っている。
その水平面と同じ大きさの水平面で覆うことで、ある程度の天候を気にすることなく楽しめる外の居場所を確保した。この二枚の水平面をコの字型につなげて上層部が独立したヴォリュームとなるよう形を整えた。
これを支える車庫や水廻りなどの機能をもつ下層は、高低差のある敷地に埋め込み上層部を持ち上げる構成としている。上層に上がる階段とエントランスの位置を揃えてガラス面とすることで垂直性を強調し、力強い印象をこの建築に付与した。
撮影:永井博史