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小さな家で,何を選び取るか.

小さな家で,何を選び取るか.|撮影:斉藤公平
撮影:斉藤公平

自邸は,小さな家として計画しました.

予算が限られることは,家づくりにおいて誰にとっても避けにくいことだと思います. 現在の社会情勢を考えると,すべてを妥協なく実現することは,かなり難しくなっています.

今回の自邸でも,最初からあきらめたこと,削ったことはたくさんあります. 面積も,設備も,仕上げも,すべてを理想通りにすることはできません. それでも,その中で大切にしたいことはできる限り詰め込みました.

多少面積を削ってでも,その場所に立つ建築として,風景や時間に向き合える強さを持った形状と構成にすること. この土地を選んでよかったと思えるように,建築に外との向き合い方を与えること. 生活や用途の変化に耐えられる,余白のある平面にすること. 時間とともに自然に変化していく,生の素材を使うこと. そして,その素材から発せられる「ノスタルジー」や「自然派」といった意味を少しそぎ落とし,今の自邸にふさわしい距離感で扱うこと.

広さや,高価な建材や,便利な設備を優先する考え方もあると思います. けれど今回は,建築そのものが持つ力を信頼し,そこにコストを割り振る形になりました.

形状,構成,素材,光,風景との向き合い方. 小さな家だからこそ,すべてを持つのではなく,何を選び取るのかが問われます.

今回の自邸設計は,そのことを自分自身に問い直す時間でもありました.

そろそろ工事が始まります. ここからは,図面の中で考えてきたことが,少しずつ現場に立ち上がっていきます.

とても楽しみです.

Instagramの投稿をもとに,HP掲載にあたり一部加筆・編集しています.

文:斉藤公平

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