天井をどう扱うか.

天井がきれいであることに,強くこだわる建築家は多いと思います.
天井は,床や壁に比べると意識されにくい部分かもしれません. けれど実際には,空間の高さ,明るさ,落ち着き,広がりを大きく左右する,とても重要な面です. 壁以上に,空間全体の印象を支配しているとも言えるかもしれません.
だからこそ,本来であれば,天井をどう仕上げるかは慎重に考えるべきところです. しかし今回の自邸では,そもそも天井を貼って仕上げるべきなのか,というところから悩みました.
魅力的な時間の流れを感じる建築には,屋根構造がそのまま現れているものがあります. 建築の構造や構成がよくわかり,モノとして強く訴えかけてくる. その空間に流れた時間が,経年変化とともに構造そのものへ刻み込まれていくような建築です.
そのあり方は,床に使うカバの無垢フローリングとも相性がよいように思えました. どちらも,素材や構造がそのまま時間を受け止めていくものだからです.
今回の自邸で採用した仕様と条件では,この天井部分に石膏ボードを張る必要はありませんでした.
この自邸でも,早い段階から構造現しにしようと考えていました. 半ば無意識に,天井に時間の流れを受け入れてもらえるような強さを持った建築にしたかったのではないかと思っています.
内部足場が必要になる高さでもあるため,天井仕上げの施工を省けることは,工事費の面でも大きな魅力でした.ただし,将来の点検や補修に必要な足場などは,仕上げの有無とは別に考える必要があります.
天井を貼らないことは,何かを省略することではなく, 建築が時間を受け止めている姿と,直接向き合えるようにすることでもあります.
モノとしての存在を強め, そこで流れる時間を受け入れる懐を,少し深くしてくれる操作なのではないかと考えています.
Instagramの投稿をもとに,HP掲載にあたり一部加筆・編集しています.
文:斉藤公平
