Journal / 建築への考え方
そこに居る時間が肯定される建築

そこで感じる建築や風景の美しさに包まれながら,そこに居ることそのものが心地よく,記憶に残る時間になることを大切にしています.
美しい風景であっても,建築がそれをどのような距離で受け止めるかによって,そこで生まれる時間は変わります.
例えば,森を楽しむ場所といっても, 森林浴のように全身で包まれる場所なのか, ダイナミックな風景として圧倒される場所なのか, 小窓から覗き込むように,少し距離を置いて眺める場所なのか.
そこには,さまざまな距離感や心地よさがあると思います.
この「森景のすまい」では,森を大きく切り取りながらも,日々の生活の一部として静かに映し出すことを意識しました.
かわいらしい花が咲くこの森とともに過ごす時間が,ゆったりと穏やかなものであるように. そのような祈りにも似た思いを込めて設計しています.
機能的な工夫はもちろん大切です. けれど,建築には,そこに居る時間そのものを好きになれることが必要だと考えています.
その土地の魅力をどう受け止めるのか. その土地の弱さや難しさを,どう居心地へ変えていくのか.
それを一つひとつ考え,かたちにしていくことが,いい建築につながるのだと思います.


Instagramの投稿をもとに,HP掲載にあたり一部加筆・編集しています.
文:斉藤公平|施工:紺野建設株式会社(掲載作品)
