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素材が呼び起こすイメージと,距離をとる.

素材が呼び起こすイメージと,距離をとる.|パースは建築模型をもとにChatGPTで作成したイメージです.計画時の図面とは一部表現が異なります.
パースは建築模型をもとにChatGPTで作成したイメージです.計画時の図面とは一部表現が異なります.

自邸の形状に,どのような素材を組み合わせるかを考えています.

素材については,どうしても好き嫌いで語られがちな部分でもあります. もちろん,素材を感覚的な好みから選ぶこと自体を否定したいわけではありません. ただ,自邸ではそれに加えて,その場所に建つ資格のようなものも考えてみたいと思っています. これまで考えてきた形状や構成の話と同じように,素材にもまた,その場所に建つための資格のようなものがあるのではないかと考えています.

建築を,風景の中で持続する形態として捉えるなら,素材についてもまた,その存在の妥当性を問わなければならないのだと思います.

今回検討した片流れの形状に,ガルバリウムのようなシャープな素材を組み合わせると,「現代的なミニマリズム」という印象が,自分の意図以上に強くなるように感じました. 切妻を検討した際にも,この敷地で懐古的な印象が強くなりすぎないかを考えました.今回も,同じように形と素材が呼び起こすイメージを確かめています.

一方で,気候風土や経済性を考えると,候補として残ってくるのは,やはり木板でした.

一方で,今回の形に木板をそのまま組み合わせると,「アンティーク」や「自然派」といった印象が強くなることも気になりました. しかし,軒を抑えたシャープな片流れの形状は,そうした木のイメージをそのまま受け取らせないだけの抽象性を持っているようにも思えました.

さらに,この木板を黒く塗ることで,「木であること」の意味を少し遠ざけることができます. 素材そのものを消すのではなく,素材が喚起するイメージとの距離をとりながら, 建築全体の抽象度を高めていく.

そうすることで,この家が,特定の趣味や時代の気分に回収されすぎず,もう少し普遍的なたたずまいを持てるのではないかと考えています.

Instagramの投稿をもとに,HP掲載にあたり一部加筆・編集しています.

文:斉藤公平

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