










間仕切りはなく、家に置いてあるものもすべてが見通せる。広々としていて、子供が走り回っても十分な広さのある家。まさに「がらんどう」であることが求められる、それがこのプロジェクトの出発点である。
水廻りと土間に設けたかった納戸以外は、建築基準法における建蔽率と流通している木材の規格を考慮して無理のない範囲でできる大きな一つの空間とすることになった。
「玄関」をなくして大きな土間から直接主室へ入っていく方法も採用し、自転車やベビーカーのような普段使いするけれども土間の上に置いておきたいものをそのまま置いておける、ラフであるが使い勝手の非常によい土間になったと同時に、よりこの住宅を一室の大きな空間たらしめるいい方法になったのではないだろうか。
明るさとプライベート性を担保するために、隣家や前面道路からの視線をシャットアウトする窓配置の為に横長の連窓を使うことで、さらにこの一室空間を家族の為の大きなスペースとして印象づけられたと思う。
しっかりと「使い倒す」ことを想定した家であるため、少しラフな印象を与えるカラマツを内装として積極的に使用することで、使用感が味になるようなそんなテイストを目指した。
「がらんどう」ではあるが、住み手と作り手の目的意識がしっかりと表現された、さわやかさを感じる家になったと思う。
撮影:永井博史