Design du Koh_北海道・札幌の建築設計事務所

北海道・札幌の建築設計事務所 株式会社Design du Kohは、長年北海道で培った温熱環境の技術と経験をベースに、お客様とその土地にあった建築を提案します。

南幌の家ZERO(山本亜耕建築設計事務所との協働)

「ゼロカーボン」をコンセプトとする、きた住まいるヴィレッジのデザインルールを活用したプロジェクトである。
ゼロカーボンヴィレッジの詳細はHP等で確認していただけたらと思う(https://www.town.nanporo.hokkaido.jp/migration/midorino-zero-carbon-village/)。
北側の緑道を自分の敷地と一体として庭のように使えることから、北側に大きな開口をもつ家が望まれた。
家族の集まる場所として、ここ最近は大きなLDKを設けることが普通になってきているかと思う。しかし、実際にそこで生活することを考えると必ずしもそれが正しい姿とは言えない、と常々考えている。
前述の通り、北側に大きな開口を持つ開放的で大きなリビングはご要望としてあった。たしかに家族が多くてもゆったりくつろげるスペースは確保したい。しかし、たくさんのお子さんが勉強するスペースも必要であったし(各個室を大きくすると面積が大きすぎる…)、ハードに使われるキッチンを考えたときにオープンなキッチンは不適であることも相談しながら見えてきたことだった。
そこで家族の居場所を2つの性質で分けることを考えた。リビングはくつろぐスペースとして独立しつつ十分な大きさを確保し、北側の大きな開口と2Fとつながる吹抜によってより開放感を高めた。そこから視覚的に区切られたダイニングスペースは機能を拡張して子供たちの勉強スペースとしても使い、そこに各自の持ち物も置いておける個人ロッカーのような収納をしつらえた。
一歩間違えれば雑多になりやすいLDKもこのようにうまく切り分けることができれば、落ち着いたリビングと書斎のようにも使えるダイニングを一つの家に同居させることができる。生活スタイルによってLDKの形は解答を変える、いい例になったのではないだろうか。

撮影:永井博史