出来ることなら分譲地に建つ住宅には中庭が欲しい。十分に広い分譲地ならばなおさらだ。
また、今回は一般的なリビングは不要、その代わり天井の高いシアタールームとなる部屋が欲しいとのご要望だった。
このシアタールームを他の矩形ヴォリュームから分け、L字ともT字とも取れるような平面計画とすることで庭を囲むようにレイアウトしている。独立した部屋でありながら、庭を介してそれぞれの様子がなんとなくわかる。そんな距離感が出来上がった。
シアタールームの開口は午後の直射日光が入らないよう南東側に設け、夕方ごろから夜にかけてプロジェクタからの映像を楽しめるように配慮している。
エントランスからメインとなる空間までの動線・水廻りや収納といった裏動線をうまくまとめるために水廻りをヴォリューム中心に据えるコア型平面を採用している。はっきりとした「廊下」を意識することはあまりないプランであるが、家の表と裏をぐるりとめぐることができる効率の良い計画となった。
撮影:永井博史