北海道での新しい生活の為に新しく設えた家である。コンパクトにまとめながらもおおらかな住宅を目指し、コストも抑えられるように計画を進めた。
薪ストーブのある家とすることは決まっていたので、玄関から薪ストーブのある主室までを土間でつなぐ手法を取った。薪を運びやすくする方法としてよく取り入れているが、それだけでなく買い物の荷物が搬入しやすくなったり、靴の脱ぎ履きを広いところでできたり、庭へすぐに出られたりと、「大きさ」を感じるような設えになる。
朝の光を取り入れるためのハイサイドライトであるが、緩やかに傾斜した天井面を照らすことで、より空間を大きく・優し気に見せる効果を狙っている。
このまま屋根形状を天井面に合わせて勾配のあるものとしてもよかったのだが、雨漏りのリスクや大工手間を考えて、思い切って内部の傾斜とは関係のないフラットなボックス状の形状とした。外から見たときにさっぱりとした印象の住宅でありながら、内部はゆったりと広々とした印象になり、そのギャップもまたこの住宅の個性として性格づけられている。

撮影：永井博史