Journal / 設計の風景
最初の提案から,設計を深める.

第一案では,お施主様のご要望と敷地の条件を読み解き,その時点で「これがよい」と確信した建築を提案します.
この模型は,1階に地域へ開かれた用途を持つ住宅を検討したときのものです.計画は実現には至りませんでしたが,入口のあり方と住まいの居場所を一緒に考えた案でした.
地域の方を迎える入口には,緊張感のある美しさよりも,近づいてみたくなる親しみやすさがふさわしいと考えました.お施主様がシンプルな形を好まれていたこともあり,建物に素直な切妻を与え,入口にも切妻の雁木を組み合わせています.軒下のベンチに座り,少し時間を過ごせる場所を考えました.
一方,入口とは反対側には景色の開ける方向がありました.住まいはそちらへ大きく開き,地域を迎える場所とは異なる,落ち着いた居場所をつくろうとしています.
第一案は,こうした判断を具体的な形として示すものです.そこから,図面や模型を見て初めて具体的になる思いや使い方を伺い,提案の軸を大切にしながら,よりふさわしい建築へと磨いていきます.
1/100の模型はお施主様にお渡ししています.手元で眺め,暮らしを想像していただくことも,設計を深める対話につながります.


Instagramの投稿をもとに,HP掲載にあたり一部加筆・編集しています.
文:斉藤公平
